はじめての傍聴その2「魚男プレゼンツ 恐怖のミッドナイト・ドライブ」2006年10月25日
これまで全く裁判と縁がない人生を過ごしてきた“ぜんぜん法律に詳しくない映画宣伝マン"が裁判を傍聴する映画宣伝マンブログ!大好評連載中です!!

フィッシュとサルもおおすじ公訴内容を事実と認めた。
次は弁護人が、フィッシュのオカンを証人喚問すると告げた。
すると!
ボクのとなりに座っていた、茶髪のオバハンがおもむろに立ち上がる。
エエッ!?
びっくりしているボクをよそに、オバハンはさっさと証言台へ。
証人って、こんな普通に傍聴席にいるもんなの?
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弁護人はオバハンに質問した。普段のフィッシュはどんなかんじか。
オバハン「すごく優しくて、人の痛みの分かる、いい子です」
ウソツケ!人の痛みが分かるってアンタ。人ひとり半殺しにしておいて、よくもそんなことをイケシャーシャーと。
弁護人が続けて質問した。今回のことを聞いてどう思ったか。
オバハン「人の痛みが分かる子が、なぜ、こんなことをしたのか分かりません」
まだ言うか。
弁護人「ではなぜこんなことをしたのだと思いますか?」
オバハン「それは山上くん(仮名)が言ったことが、あまりにもヒドすぎたから、ついカッとしてやってしまったんだと思います。本当に、あまりにもヒドいことを言われたんです」
そこを強調しすぎて、むしろヒドい事を言った山上のほうが悪い、と聞こえる。
しまいには「山上にあんなにヒドい事を言われて息子も可哀相」とまで言った。
この親にしてこの子あり、か。
親子揃って破滅的にジコチュー。
しかし弁護人は、なんでこのオバハンにこんなこと喋らせたんだろう?
聞いてるこっちの心証は最悪。裁判長もたぶん同じなんじゃないか。
同情を引く作戦なら、思いっきり逆効果だ。
検察官のメガネくんが反対尋問した。
「さっきから聞いているとね、山上くんがヒドい事を言ったから悪い、って聞こえますよ。お母さんはそういう風に思っているんですか」
メガネくん、そのとおり。
「いえ、息子が悪いです。でも、その、あまりにもひどい内容を」
「質問を終わります!」
言葉を途中で遮った。
これ以上は聞くまでもない、と。
メガネくん、なかなかやるな。
オバハンの証言は最悪の印象で終わった。

弁護人はもうひとり、フィッシュの彼女を証人として喚問すると告げた。
すると、オバハンの横に座っていた、ヤンギャルが立ち上がる。
エエッ、またこの席からスターが誕生!?
しかし、このちょっとかわいい娘さんが、なぜあんな極悪魚と…?
弁護人が尋問する。「山上くんから、どんなひどいことを言われたんですか」
ギャル「私は男狂いのビ*チだと言われました。同僚に裏切られて精神的にショックでした。山上くんをいまでも許せません」
山上も悪いとはいえ、ここまで大変なことになってるんだから、もう許してあげたら?
弁護人「ところであなたは妊娠していますね」
WHAT!?
アー・ユー・ハビング・ア・ベイビー??
最終兵器でたーーーーーーッ!
間違いない。これが切り札だ。
弁護人「彼が刑務所に入ったらひとりで子供を育てるんですか?」
ギャル「これから結婚の準備をしようとしていた矢先にこんなことになって、まだ入籍もしていないし、これからどうなるか考えると不安でいっぱいです。 こんなことしてるあいだにも、おなかはどんどん大きくなってくるし(涙そうそう)」
彼女、なにげに芝居っけがある。
受け答えもちゃんとしていて印象がよい。
「泣きベソなんてサヨナラ・ね」とばかり、涙をこらえて裁判長の方に向きなおす。
誰にアピールすればよいのか分かっている。
「こんな極悪魚男でも好きになった人だから、これからすぐに入籍して、出所を待ちます」
…いいカンジにケナゲさをだした。
「待っている間ひとりで子供を育てるのは不安でたまらない、経済的なアテもありません」
…いいカンジに悲壮感をだした。
涙。哀しみ。不安。母となるものの決意。
色んな表情を巧みに使い分けるこの阿修羅ぶりはどうだ。
そして、こんなことをしているあいだも、1分1秒リアルタイムで彼女のおなかは大きくなっていってる。
その場にいたおそらく全員が同情スイッチをONにされた。
マイナスでしかなかった実の母であるオバハンよりも全然効果的だ。
メガネくんの反対尋問も歯切れが悪い。

さあ、お次はいよいよメインディッシュ。
フィッシュ本人への尋問が始まった。
弁護人「あなたは自分のやったことを反省していますか?」
フィッシュ「はい、反省しています」
あれ?なにこの軽いカンジ。えらいサクッと答えた。
お昼ごはん食べましたか?はい、食べました…くらいのテンションの会話に聞こえる。
弁護人「あなたが山上に対してしたことをどう思っていますか」
フィッシュ「とりあえずー、ジブンのカノジョ(語尾↑)をビ*チって言われてカーッときてやってしまったんですけどー、ホント悪いことをしたと思っています」
あれ?なにこの受け答え。コイツ自分がやらかしたこと分かってんのか?
馬鹿まるだしのしゃべり方。
そしてなんだか生理的にキモイ。
またマイナス効果じゃないのか、弁護人?
弁護人「出所したらもうこんなことはしませんね」
フィッシュ「もうしません」
いいや。オマエはする。絶対またする。
弁護人「出所したら、父親になって養わなければならないんだけど、仕事は決まってるんですか?」
フィッシュ「土木系で決まっています」
この段階でもう出所後の仕事が決まっていた。
…ほんとコイツ、こういう事だけちゃんとしてる。
というか、だったら最初からちゃんと働いとけ!
終始こんな調子でサクサクと答えていくフィッシュ。
かわいい彼女が涙まで流して(なぜかちょっぴりだったけど)、一世一代の大芝居をうったというのに、コイツときたらまるでイチ観客のようなふるまい。
主演はオマエだろ。裁かれてるのはオマエ。
犯罪者としての自覚はあるのか。
せめて小芝居くらいして見せろ!
ウソでもいいから泣け!
メガネくんの反対尋問。
犯行がいかに極悪非道であったか、事実を突きつけ、指摘して、バンバン攻めていく。
しかしなんだか上の空のフィッシュ。
「それは悪いと思っています」ばっかり言ってる。
すると、ついにあの裁判長が吼えた。
「キミはホントに反省しているんですか」
ワオッ。
「キミは犯罪を犯したんですよ。その罪を自覚していますか?これから父親になろうという人間がね、人に迷惑をかけてどうするんですかッ」
Mrクール・ガイが怒った。
「キミは傷害の前科もあるし、これからまた刑務所に入ることになるんだけどね
エ?これって執行猶予の可能性ゼロ宣告?
判決前にこんなこと言っていいの?
「待ってくれる人もいるんだから、十分に反省しなさい!」
Mrクール・ガイ、実は熱い人なんじゃないか。
静かなる炎の男。
バカな被告人に熱いセッキョー。
かっこいい。
原告側は懲役5年の求刑。
判決は次回とのこと。その場で判決はしないようですね。
さていかに?


…と、これでもだいぶ端折って書きました。

ボクの最初の傍聴は、2時間たっぷりこってり、見ごたえ満載でした。
正直、会社に帰ってからも仕事が手につかないくらい、後を引きました。

見ると聞くとでは違う、とよく言います。
法廷とは、数々のドラマが生み出されるディープでソウルフルな人生劇場。
傍聴って、不謹慎だけど面白い。 [↑]
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